インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

今日はあらかじめ予告されていた施設の安全性評価に関する会議。こちらはかなり込み入った事情から、同じような内容の会議をすでに三度も行っているので、あまりストレスなく通訳することができる。
何度も開かれているのは、主に台湾のプラント操作部門が毎回あまりにも常識はずれで突飛な、専門家が聞いたら苦笑されるか、へたをすると軽蔑さえされかねない破天荒な意見をまくし立てるから。この施設は台湾でもかなり特殊なプラントで、商業運転されているのはここ一か所しかない。そのためかどうかは知らないがプラントの職員はかなり増上慢に陥っており、そのうえかなり恣意的に「ああ言えばこう言う」的サボタージュを行うので*1、会議の進行がいつも滞る。
いくら台湾で唯一のプラントだとはいっても、台湾ですべての技術を独自開発したわけではない。その設計理念や操作のノウハウ、安全管理などは海外の先例を学ばなければ成り立たないはずだ。なのにどうしてこんなに非科学的な論拠に凝り固まった、「井の中の蛙大海を知らず」的な人間が集まっているのだろう。このプラントの技術については四年に一度の国際会議があり、国際的なセミナーや研究会もたびたび開かれている。いくらなんでもそうした機会を通じて世界の常識と“接軌”していれば、これほど見当はずれな意見が出てくることはないだろうに……と考えて、はっと気づいた。
もしかすると台湾の国際的な地位に絡んで、彼らはそうした会議に参加することが困難なのかもしれない。SARSであれだけ世界的な騒ぎになったにもかかわらず、いまだに某方面からの圧力でWHOにさえ加盟できない台湾なのだ。あり得ない話ではない。そう考えると、プラントの職員に多少は同情の念がわいてくる。
ことあるごとに「ああ言えばこう言う」のは、そうした困難の中で、それでもなんとかこの施設を運営してきた彼らのプライドのなせる技なのかもしれない。まあ、そんな背景など全くなくて、たんに彼らの「社風」なのかもしれないけれど。

*1:詳しくは書けないが、そうすることで彼らの利益につながる事情がある。