インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

以前に作成した、施設のリスク評価に関する報告書が、第三者的な公証機関によって再評価され、その結果の報告会議。昨日の夕方に台湾側から突然開催が伝えられ、ほとんど何の準備もできないまま、逐次通訳。台湾側が抜き打ちで仕掛けた、かなり謀略的な性格の会議だったため、会議終了後に日本側が台湾側代表に対して抗議の申し入れ、これも通訳。こういうのはさらに事前準備が不可能。しかたがない。
以上を午後の三時くらいまでやって、そのあと高雄の小港空港から台北へ。日本側の代表が、台湾側のとある重要人物と極秘裏に会談。「水面下」の交渉というやつだ。場所も台湾市内某所の個人の邸宅内、応接間。一時間ほど意見交換、逐次通訳。会談は成功で、別室に移って和やかに会食、これも逐次通訳。
この会食、有名なレストランのシェフを自宅に呼んでフルコースを作らせる、という趣向だったらしく、台湾料理とフランス料理を自在にアレンジしたような素晴らしい美味が次々に運ばれる。私は通訳者だからあまり食べることはできないが、全く手をつけないとかえってあれこれすすめられたりして、通訳がやりにくい。それで少しは手をつける。ゆっくり味わうことなどとてもできなかったが、それでもフカヒレやらフォアグラやらロブスターやら、どれも超一級の美味だった。
会食での会話は他愛ないものだが、交渉や技術会議などよりかえって気をつかう。社交辞令的な会話が多いし、どんな話題に飛ぶか全く予想がつかないからだ。こういった通訳では雑学的知識がすごく役に立つ。
結局、出された料理やワインに関する蘊蓄、日本に旅行した際の印象、家族や子供の教育の話題などに花が咲いた。総じてとても上品というかなんというか、ハイソサィエティな会話。私など、根ががさつな人間なので、こんな優雅な夕飯、本当に別世界に迷い込んでしまった感あり。