インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

『いちげんさん』(デビット・ゾペティ/集英社文庫/1999年)を読む。読後感の爽やかな小説。おもしろい。どことなく村上春樹の小説に雰囲気が似ているな〜と思いながら読んだが、果たして巻末の解説でもそういう指摘があった。
作者がスイス人だからなのか、ときどきこれまでに目にしたことがないような(でも不自然ではない)表現にこつんこつんとぶつかって、独特の味わいがある。ただ、そういう例えば「太り気味の兎はやせ我慢を知らない」とか「可愛い女の子と国際交流を深めて」といったおもしろい表現にわざわざ傍点をつけることはなかったのではないか。つけなくてもおもしろさは十分伝わる。つけることで却ってわざとらしさが前に出てしまうような気がする。