インタプリタかなくぎ流

いつか役に立つことがあるかもしれません。

字幕再開

  終わったと思ったら、別件で超特急の字幕翻訳案件が来た〜ぁぁあ……あとかたもなく週末が吹っ飛びました、はい。
  今は二十四時間いつでも配達オーケーという、非情に便利な、もとい、非常に便利なバイク便があって、深夜でも翻訳用のビデオが手元に届くのだ。
  でも今回の作品、これがまたなかなかおもしろい。こういう仕事がコンスタントかつ恒久的に入ってくるといいんだけど。

菜鳥

  これは手元にある『当代港台用語辞典』に載っていた。「新入り」だ。
  ではなぜ“菜鳥”というのかだが、これがどうも鳩のことらしい。台湾に住んでいた時、朝晩の通勤時に車窓の風景を眺めていると、屋根の上に巨大な鳩小屋の載った家を数多く見かけた。たぶんレース鳩を飼っているのだろう。台湾ではかなり盛んなようだ*1
  で、レース鳩の必須条件である帰巣本能、これが弱いとか長距離を飛ぶ力がないなどという鳩は、飼っていてもしょうがないから晩ご飯のおかずになっちゃうんだそうで。そこから“菜鳥(おかずの鳥)”という言葉が生まれ、それが経験や能力の不足している人、つまり新入りのことを指すようになったものらしい。
  ううむ、なんだか残酷なようだが、しかし家畜を飼うというのはきわめて優性思想的な行為だからねえ。私もその昔、卵を産まない雌鶏は容赦なく「おかず」にしていた。あれも“菜鳥”だったわけだ。
  ちなみに「ベテラン」は“老鳥”というそうだ。

追記

  id:locchiさんから“菜”は形容詞ではとのご指摘。なるほどー。辞書を引いてみると、確かに「軟弱な、無能な、いくじなしの」というような意味がある。北京の方言らしい。locchiさんのおっしゃる通り、軍隊で新兵を指す言葉として生まれたようだ。

さらに追記

  能力が劣ることをなぜ“菜”というのかについて、こんなことを考えた。方言の“柴(chai2)”が語源じゃないだろうか。台湾では巻舌音が強調されないから“cai2”に近く聞こえる。それが「能なしは食っちゃうぞ」のイメージとも相まって、“菜(cai4)”になった……って、ダメ?
  ただこの形容詞としての“菜”は、北京大学大東文化大学が共同編集した『現代漢日辞海』にも載っている。ということは、台湾で変化して生まれた言葉ではないということなのかな。_| ̄|○

*1:あ、今いきなり『レース鳩0777(アラシ)』というマンガを思い出した。この記憶の引き出し、何十年ぶりに開いただろうか。

つかいみち。

  昨日某北京語学校に行ったら、古い顔なじみの先生と久方ぶりにお会いした。で、新年の挨拶をしながら冗談で“今年也得好好賺錢啊。(今年もバリバリ稼ぎましょ)”と言ったら、“賺那麼多錢,你要用到哪裡呢?(そんなに稼いで何に使う?)”と返された。そしたら傍にいたもう一人の先生が私に“該用到那裡啊。(そりゃアレに使わなきゃ)”だって。
  はいはい、みなまで言わなくとも分かりますよ。今年こそもう一度身をかためろと。