インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

通訳・翻訳

もう少し怖れてもいいかもしれない

むかしむかし、通訳学校で学んでいた頃、ノートテイキング(メモ取り)の授業で講師の先生からこんな指導がありました。 何はなくとも数字、それに固有名詞だけはメモしてください。 そりゃそうですよね、数字や固有名詞(人名や地名、団体名などさまざま)…

無償労働を正当化した先には……

昨日、Twitterのタイムラインで拝見したこちらのツイート。ふざけんな。英語で選手に理学療法を提供できるようになるまでにどんだけの労力と時間とお金かけてると思ってんだ。誰がやるんやこんな案件。1日9時間、7日以上もプロとして仕事させたいなら最低200…

太平洋戦争 日本語諜報戦

武田珂代子氏の『太平洋戦争 日本語諜報戦』を読みました。本のタイトル、それに副題の「言語官の活躍と試練」からして興味をそそられます。 太平洋戦争 日本語諜報戦 (ちくま新書)アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダそれぞれの国において、各国が…

変わったタイプ

むかしむかし、タイプライターを持っていました。イタリアのオリベッティというメーカーの「Lettera32(レッテラ32)」という緑色の一台です。正確にいうと、かつて仕事で使っていた叔母に借りたものでした。「もう使わなくなっちゃったから」というわけで借…

チャイニーズには目が四つある

昨日うかがった仕事先で「外見だけで日本人か中国人か分かるか」という話になりました。これ、昔からいろいろな場所で聞かされてきた話題で、日本人と中国人、さらに韓国人も加えて、どの国の方かを「判別」する方法にみなさん一家言持っているのが面白いな…

冗談言っちゃいけません

「東京新發現 DISCOVER NEXT TOKYO」というFacebookページがあります。京王電鉄と『地球の歩き方』が共同で運営する、多摩エリアの観光情報を台湾や香港に向けて発信するサイトです。 https://www.facebook.com/DiscoverNextTokyo/ここで「観光促進につなが…

最先端の知見が日本語で読める幸せ

吉川浩満氏の『理不尽な進化』と『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』を続けて読みました。日経ビジネスオンラインの、小田嶋隆氏のコラムで取り上げられていたのに興味を持ってすぐに購入したのですが、どちらも超絶的な面白さ。私などが言うのも僭…

東京五輪のボランティアは「人生最高の二週間」か「やりがい搾取」か

『ブラックボランティア』の本間龍氏と『東京オリンピックのボランティアになりたい人が読む本』の西川千春氏が対談という、ある意味奇跡的な(?)イベントに参加してきました。場所は下北沢の「本屋B&B」という、書店とイベントスペースを兼ねたような店舗…

しまじまの旅 たびたびの旅 67 ……高雄左営・懐かしの餛飩

かつて高雄で働いていた頃、会社の台湾人スタッフが何度か連れてきてくれた餛飩(ワンタン)のお店がありました。現在台湾高鉄(新幹線。当時は建設中でした)の左営駅にほど近い場所で、庶民的な市場の入口にある、ほとんど屋台と言ってもいいほどの小さな…

「語学では食えない」をめぐって

通訳翻訳業界ではよく知られている『通訳・翻訳ジャーナル』という雑誌があります。記事の内容は圧倒的に英語関係なので私はあまり買わないのですが(ごめんなさい)、たまに中国語や韓国語の特集が登場することもあります。また別冊として『通訳者・翻訳者…

言語リテラシー教育(のようなもの)の必要性について

先日Twitterのタイムラインで拝見したtoraneko285氏(@toraneko285)のツイート。会議通訳の資料を会議開催日のギリギリになってどっさり送ってくるのはまさに「あるある」なんだけど、どうにかならないのだろうか。日本語を聞いて中国語に訳すのに、前日の…

ネット動画に見る通訳者のイメージ

先日Twitterで「 #一般人の方が時々誤解しておられること*1」というハッシュタグを見かけ、私もこんなツイートをしました。話せれば、訳せる。#一般人の方が時々誤解しておられること pic.twitter.com/ywcRh2KUaj— 徳久圭 (@QianChong) 2018年7月18日「話せ…

語学の「財産使い果たし系」について

こんなことを言っちゃうと身も蓋もないのですが、ここ十年ほど在日華人や華人留学生と一緒に通訳訓練や日本語学習を行ってきて感じるのは、やはり語学の習得には「向き不向き」があるのだな、ということです。学校教育では、語学の科目、例えば「英語」が「…

塚本慶一先生のこと

中国語通訳者の塚本慶一氏が亡くなりました。享年七十歳。最初Twitterで、その後ネットの報道で訃報に接しました。j.people.com.cn塚本慶一氏といえば、日本における中国語通訳者の草分け的存在。著書の『中国語通訳への道』は旧版、新版ともに私も繰り返し…

『七里香』を紹介したテレビ番組に対する違和感

Twitterのタイムラインで、こんなツイートに接しました。中国 サンマが大ブーム 火付け役は中国の"フクヤマ"#しゅうけつりん#ジェイチョウ#周杰倫#七里香 #台湾#秋刀魚 #モーニングショー #テレ朝 pic.twitter.com/7D2LB5RbMo— Kumi (@tokyohongkong) 2018年…

巧妙な皮肉と機械翻訳

Twitterのタイムラインで見つけたこちらのアカウント、なかなか皮肉が効いていて面白いです。当アカウントはウナギの絶滅に向けて、販売推進を行ってくださる企業様を応援しております。ウナギを絶滅させるにはこうした企業様がなんら絶滅の心配がないかのよ…

教師だって生徒を選びたい

先日、cakesで読んだ、こちらの記事。cakes.mu入社試験における採用基準が「素直であり、自ら意思表示のできる人」で「一緒に働きたいと思うかどうか」だというの、とても共感します。もちろん能力やスキルだって大切ですけど、試験で一定程度の選別をしたら…

動詞がドーシても必要なんです

中国語が母語である華人留学生と「中国語→日本語」の通訳訓練をしていると、いくつか興味深い現象が見られます。そのうちのひとつは、訳出する時に日本語の文章の係り受けがねじれる、特に最後に動詞を入れることを忘れる、という現象です。中国語は、英語ほ…

退化を空想していたら現実はその先を行きつつあった

華人留学生の通訳クラスではいま、日本語の成語や慣用句やことわざを学んでいます。中国語もこうした言葉は豊富ですが(というか、中国から入ってきたものが実に多い)、それらを引き比べて覚えていくと、双方の文化の違いや言語表現の発想の違いが分かって…

黒歴史はあまり聞いたことがないって

華人留学生の通訳クラスで、無国籍の問題に取り組まれている陳天璽氏の講演を教材に使いました。【一席】陳天璽:無國籍生存とても分かりやすい中国語ですし、無国籍者としてのご自身の体験も語られており、国民国家とは、国籍とは、難民とは……と、考えさせ…

語学をもっと欲張ればいいのに

日本語を学んでいる、あるいは日本語と英語や中国語との通訳や翻訳を学んでいる留学生から、ときどきこんな相談というか、要求が聞かれます。 学校で教わる日本語はすごく「きっちり」してるけど、日本人の友達とかバイト先の日本人はそんな日本語を話してま…

「この中国語はおかしい」について

通訳訓練では毎学期必ずと言っていいほどあることなのですが、今期も華人留学生から教材の中国語について「この中国語はおかしい。普段の生活でこんなことは言わない」との発言がありました。う〜ん、まあ語学教材はそもそもが架空の設定ですし、とはいえ文…

日本人にとって「ツンデレ」な中国語

私たち日本語母語話者が中国語を学ぶ際には、漢字の存在が手助けにも、またハードルにもなります。でも、かつての私もそうでしたが、中国語初学者の方に「なぜ中国語を学ぼうと思われたんですか?」と伺ってみると、たいがい「漢字を使っているから学びやす…

オリンピックのボランティアと大学連携協定について

参加要件が厳しすぎるとして話題になっていた東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集ですが、大会組織委員会が要件を見直したというニュースに接しました。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180607/k10011468441000.htmlwww3.nhk.or.jp ※201…

日本人が日本語と外語を行き来することについて

日本で学ぶ留学生が日本の暮らしで一番「心折れる」のは、不自然な日本語に対する日本人(日本語母語話者)の許容度があまりに低いことだそうです。例えばコンビニのバイトで、日本語の発音や統語法が少しでも不自然だと、あからさまに嫌な顔をされたり笑わ…

学校が後押しする「通訳ボランティア」について

先日、TwitterでNHKのこの記事が「東京五輪・パラのボランティア」「やりがい搾取」というキーワードでトレンドに入っていました。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180521/k10011447361000.htmlこの件に関してはこれまでにも発信してきましたが、この期…

暗く小さな声の生徒を前にして

通訳の訓練をしていると、生徒さんの中には、声が暗く、小さく、元気がない方がまま見受けられます。自分の訳出に自信がないので小声になるのだと思われますが、どうもそれだけではないみたい。訳出のたびに「もっと声を大きく、活き活きと、語りかけるよう…

ボランティアに頼る「商売」はおかしいと思います

先日、Twitterのタイムラインにこんなツイートが流れてきました。【 #通訳ボランティア 】英語コミュニケーション能力を発揮して、活躍してみませんか?#TOEIC #ラグビー #ボランティア秩父宮みなとラグビーまつり2018▼詳細はこちら— TOEIC (@TOEIC_japan) 2…

外語や外国とは「健全」につきあいたい

フリーランスライターのふるまいよしこ氏がnoteに寄稿された、翻訳家・天野健太郎氏へのインタビュー、とても興味深く読みました。有料記事ですが、こういう出費は惜しんじゃいけません。note.mu天野健太郎氏の翻訳で私が最初に読んだのは、龍應台氏の『台湾…

“語言天才”の“語言精華”に接して

先日の東京新聞朝刊に、こんな記事が載っていました。“相聲”は中国版漫才と紹介されていますが、二人で演じるものの他に一人や三人以上という場合もあります。いわば「ピン芸」や「スタンダップコメディ」や「コント」などを包括した話芸のひとつですが、芸…