インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

芝居

今はまだ本気出してないだけ

世界各地から集まった留学生が文化祭で披露する日本語劇、いよいよ本番の日を迎えました。ここ数日は舞台の設営やリハーサルを行ってきたのですが、ここに来てようやく、なんとか形になってきました。本番直前なのに「なんとか」というのも情けない話なので…

留学生による日本語劇

秋に入り、文化祭の季節がやってまいりました。私が奉職している学校のあるキャンパスでも、学生さんが様々なイベントを行います。このキャンパスは大学院・大学・専門学校の複合施設なのですが、私が担当している専門学校の、通訳や翻訳を中心に日本語を学…

華人留学生の頭がなかなか「日本語モード」にならない

職場で私が担当している学科には約80名ほどの留学生がおりまして、そのうちの半分が英語と日本語で、残りの半分が中国語と日本語で、通訳や翻訳やビジネスなどを学んでいます。「英日クラス」の留学生に英語の母語話者は少なく、大半が第二言語として英語を…

能楽の「現場性」について

娯楽のジャンルが多岐にわたる現代。それも家から一歩も出なくたってネットで何でも済ませられるこの時代に、わざわざ数少ない能楽堂に足を運び、そこそこなお値段のチケットを買って、三時間も四時間もそこに座り、必ずしもすべてが理解できるわけではない…

留学生版「通訳機械の反乱」

ずいぶん以前のことですが、こんなディストピア小説のプロットを思いつきました。機械通訳が高度に発達した未来で、各言語の母語話者がそれぞれの母語の内輪だけで思考するようになった結果、思考のブレイクスルーがなくなってどんどん言葉がやせ細っていき…

ジャガーの眼

劇団唐組の『ジャガーの眼』を観てきました。東京は新宿の花園神社境内、特設のテント小屋。この光景はかなり懐かしいです。劇作家で俳優の唐十郎氏が率いる状況劇場・紅テント。劇団唐組はその流れをくんでいて、座長は今でも唐十郎氏ですが出演はしていま…

ゴールデンタイムへの進出を期待しています

十年以上読み続けている、よしながふみ氏のマンガ『きのう何食べた?』。主人公が自分と同年代で、実際の時間の流れと同じ速度で歳を取っていくこと、中年期に「あるある」な自分の身体の変化や親との関係、働きながら家事も担当する(当たり前ですけど)男…

語学と「恥」あるいは「芝居っ気」

日ごろ語学を教えたり、自らも生徒となって語学を学んだりしていてよく思うのは、語学学習の過程というのは一種の「演技」なんだな、ということです。唇や舌や声帯を日本語とは違うやり方でぎこちなく用いながら、そしておそらく日本語を話している時にはあ…

語尾上げの殺意

劇作家の永井愛氏に『ら抜きの殺意』という戯曲があります。これは「来れる(来られる)」「食べれる(食べられる)」のような「日本語の乱れ」を題材にした傑作喜劇です。こちらの記事で詳しく解説されています。business.nikkeibp.co.jp私自身は「ら抜き言…

「邯鄲」の楽におけるドラマツルギー

中国の河北省に邯鄲(かんたん)という都市があります。秦の始皇帝の生まれた場所としても有名ですが、日本ではなんと言っても「邯鄲の夢(邯鄲の枕)」の故事でよく知られている街です。私は昔一度だけ「ほとんど通過」したことがありますが、それほど際立…

馬を水辺に連れて行くことはできても水を飲ませることはできない

学校の文化祭で留学生が演じる日本語劇、昨日の初日はなんとか滞りなく上演できました。途中で一、二度台詞が飛んだ場面があって、舞台袖に「プロンプター」として陣取っていた私が失念した台詞を入れたのですが、あとから留学生に「センセ、余計に緊張する…

大きな声が出せない?

通訳訓練や、通訳訓練の基礎となる日本語の音声訓練、さらには豊かな表現力を身につけるための演劇訓練。私は昔からこういう訓練、特に声を出す訓練に興味があって、いろいろな学校や教室やワークショップに参加してきました。それが今のお仕事に(ほんのわ…

小手先の技術に頼らない

学校の文化祭で披露する留学生の日本語劇、今週末の本番を前に、実際の舞台(といっても教室を利用した簡素なものですが)でゲネプロ(本番と同じように舞台で行う通し稽古)が始まりました。この期に及んでまだ台詞がうろ覚えという人もいますが、だんだん…

留学生が挑戦する「容赦のない日本語」

秋は学園祭や文化祭の季節です。私が奉職している学校では通訳訓練の一環として「演劇」を取り入れており、訓練の成果を文化祭で発表するので、留学生のみなさんはただいま稽古の真っ最中です。留学生の「出し物」というと、日本語がまだ拙いからということ…

ネット動画に見る通訳者のイメージ

先日Twitterで「 #一般人の方が時々誤解しておられること*1」というハッシュタグを見かけ、私もこんなツイートをしました。話せれば、訳せる。#一般人の方が時々誤解しておられること pic.twitter.com/ywcRh2KUaj— 徳久圭 (@QianChong) 2018年7月18日「話せ…

京劇の「覇王別姫」と能の「項羽」

「覇王別姫(はおうべっき)」といえば、陳凱歌監督の映画「覇王別姫 さらば、わが愛」でも有名な京劇の演目です。楚の項羽と漢の劉邦が戦い、最後は項羽が追い詰められて虞姫(虞美人)と愛馬・騅と別れる……という悲劇。「四面楚歌」という成語の元になった…

しまじまの旅 たびたびの旅 33 ……飛び込みでバレエを観に行く

「コペンハーゲンの銀座歩行者天国」的なお買い物ストリート「ストロイエ」を歩いていたら、その終点に王立劇場の建物がありました。観光シーズンではないこの時期を狙ってか、市内はあちこちで改修中で、劇場前の広場も大規模に掘り返されていましたが、そ…

しまじまの旅 たびたびの旅 19 ……臺中國家歌劇院

台中でぜひ行ってみたかったのはここ、近年竣工したばかりの台中国家歌劇院です。あいにくお天気が悪くて写真も暗めですが……。 www.npac-ntt.org casabrutus.com伊東豊雄氏設計の、この建築、巨大な生物の胎内にいるような有機的な曲線が、全体を眺めても、…

塩津哲生師の神舞

先日見に行ってきた「若者能」の番組(プログラム)でもう一つ、どう言語化してよいかわからず、エントリに載せなかったものがあります。塩津哲生師の舞囃子『高砂』です。だって「すごい」としか言えないんだもの。「すごいものはすごい」のだから「すごい…

若者能

「若者能」を見にいってきました。wakamononoh.jp能楽喜多流シテ方の塩津圭介師が中心となって、学生さんや社会人が実行委員会形式で毎年行っている能楽入門的なイベントです。入門編とはいえ、番組(プログラム)は解説に始まって舞囃子、狂言、能と盛りだ…

差異を認めて知ろうとすること

見逃していた正月時代劇の『風雲児たち~蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)~』、NHKオンデマンドに早くも上がっていたのでさっそく視聴しました。 http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017084181SC000/index.html?capid=sns002 みなもと太郎氏の同名…

神の雫

先週の火曜日から、ドラマ『神の雫』が始まりました。 http://www.ntv.co.jp/shizuku/ パソコンで録画しておいた第一回目を先日ようやく見たのですが……ううむ、主人公・神崎雫を演じる亀梨くんの演技はまあコメントするのも野暮というものですが、わはは、ツ…

火宅か修羅か

題名からも分かるように、壇一雄の『火宅の人』に想を得たらしい平田オリザ作の青年団公演。例によってせりふのリアリティを極力追求した、抑えに抑えた演技がじりじりと一時間半続く。音響は一切なし。照明の変化も一切なし。ある旅館に集う、それぞれに訳…

夏の夜の夢

ジョン・ケアード演出のシェイクスピア劇。 【ネタバレがあります】 バンドの生演奏やダンス、歌などを取り入れた楽しい舞台。回り舞台を使った装置は、ほどよく現代的、ほどよく古典的で分かりやすい。シェイクスピア劇は様々な方法がやり尽くされているか…

下周村

「青年団」の平田オリザと北京人民芸術劇院の李六乙が共同で戯曲を書き演出するというプロジェクト。日中双方の俳優が出演し、日本語と中国語が混在したセリフになっている。 【ネタバレがあります】 劇場に行ってみると一番前の席で、シートに資料が置いて…

コペンハーゲン

1941年の秋、ドイツ人物理学者ハイゼンベルクが、ユダヤ人物理学者にして師でもあるボーアの自宅を訪れる。食事の後、ほんの十数分間の散歩から帰った二人はただならぬ様子で、かつて共同で量子力学を確立した二人はこの日を境に袂を分かってしまう。 二人の…

わたしは血

ヤン・ファーブルが演出・構成した舞台。演劇というかダンスというか、パフォーマンスというかインスタレーションというか、とにかくまあ「舞台作品」としか言いようのない作品。 http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/d0216.html 【ネタバレがあ…

タカトシ寄席 欧米ツアー2006

「芝居」じゃなくて、漫才のライブ。しかも劇場に見に行ったんじゃなくてDVDを借りてきたんだけど。 【ネタバレがあります】 タカアンドトシが新作漫才をカウントダウン方式で十本連続披露するという、すんばらしい企画。 おなじみ「『○○か!』漫才」もあれ…

ソウル市民三部作

平田オリザ作・演出の青年団公演。日本の植民地支配下にあるソウルで文房具店を営む篠崎家、その1909年から1929年までを描く、『ソウル市民』、『ソウル市民1919』、そして新作『ソウル市民 昭和望郷編』の三部作連続上演だ。 http://www.seinendan.org/jpn/…

ナイス・エイジ

ナイロン100℃の公演。例によって長大な上演時間だが、シリアスとギャグが間断なく織り交ぜられ、時間の長さを感じさせないおもしろさ。 舞台装置にも音楽にも映像にも手がかかっていて、しかもそれがすごく誠実な「手作り感覚」……と言っちゃうとチープな印象…