インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しごと

母語なのに聴き取れない

華人留学生(出身地は中国・台湾・香港・マカオなど様々)の通訳訓練クラスを担当していると、時々おもしろいことが起こります。華人留学生なのに、つまり中国語が母語や準母語*1であるみなさんなのに、教材の中国語が分からない、あるいは聴き取れないこと…

「開いててよかった」から離れて

この夏、フィンランドでなかば「暮らすように」旅をしていて印象深かったのは、かの地のお店の営業時間が短いことでした。いえ、短いというより普通といったほうがいいのかもしれません。要するに「9時−5時」であったり週末や休日には閉まっているというだけ…

フィードバックをもらえるありがたさ

通訳学校は現在、秋学期の生徒募集時期ということで、どちらの学校も無料公開講座やセミナーなどを開催されています。eラーニングやネット動画を使った教材も増えている昨今、毎週毎週教室に足を運んで訓練する昔ながらのやり方じゃなくてもいいんじゃないか…

「分」を弁えて苦手な人からはすぐ逃げる

仕事をしているといろいろな方に出会います。人柄もそれぞれ、性格もそれぞれ、本当に人は千差万別なんだなあと思いますが、幸い私は人のご縁に恵まれているというか、現在間近で一緒に仕事をしている方々はみなさん「付かず離れず」、つまり仕事以外のプラ…

語学の「通学」に向かない方もいる?

留学生の通訳クラスでは、カリキュラムに演劇を取り入れています。これは日本語を「肉体化」してより活き活きと話せるようにするため、また人前で誰かに成り代わって話すという通訳者のお仕事の特性に鑑みて取り入れているものです。ネット上にある寸劇やコ…

「です・ます」と「だ・である」の使い分け

華人留学生の通訳クラスを担当していると、いろいろと面白いことに気づきます。私たちの学校の留学生はおおむね日本語学校で一年〜二年程度学んで入学してきた方々なので、正直に申し上げて日本語はまだまだ発展途上。というわけで、通訳の訓練というよりは…

芸術を志す若い方々とタバコの親和性

昨年「健康増進法」の一部が改正されたことにより、多数の人々が利用する学校施設でも受動喫煙防止のための措置を講じることが義務づけられました。原則としては「敷地(キャンパス)内禁煙」なのですが、屋外で、受動喫煙を防止するための対策が取られてい…

英語と数式満載の「理系」資料が出てきたら

通訳クラスで「素数」についての教材を扱いました。通訳者を目指す方はどちらかというと「文系」の方が多く(私もそうです)、数学だの物理だの科学技術だのといった「理系」の内容に疎い、あるいは苦手という方が多いです。でも一方で、実際のお仕事はむし…

「腰掛け」で仕事してると“緣分”が寄ってこない

先日、通訳学校の生徒さんから「キャリア相談」にのってくれませんかと話を持ちかけられました。教師という仕事をしていると、時々生徒さんからこうした就職や転職や進路などについての相談をされます。その際に一番よく聞かれるのは「センセは学校を卒業し…

「つるっつる」をめぐって

先日、学校の教員室に中国人留学生の男性(二十歳くらい)が課題のレポートを提出に来たんですけど、その彼が帰ったあとに同僚の教員がこんな声をあげていました。「脚がつるっつる〜!」なるほど、蒸し暑くなってきたこの時期、留学生のみなさんはより快適…

「話し方の訓練」をしているのかな

昨日は台湾の某テレビドラマに関連した「ファンミーティング」のお仕事でした。ドラマに出演している俳優さんたちが来日して、ファンとの“互動*1”をしたり、フォトセッションをしたり、握手会をしたり……。これまでにも何度もこうしたお仕事をしてきましたが…

日本統治時代の台湾におけるハンセン病患者隔離政策

昨日、元ハンセン病患者家族への賠償を命じた熊本地裁判決について、政府が控訴しない方針を決め、安倍首相が「異例のことではありますが、控訴をしないことといたしました」と表明しました。「異例のこと」に引っかかりますし(当然のことだと思うので)、…

対等な言葉遣いについて

BLOGOSに載っていた岩田健太郎氏のこちらの記事に共感を覚えました。いわゆる「言葉狩り」や教条主義的な語源重視(と、そこからの批判・批難)に対して、それは短見かつ「つまらぬこと」であり、言葉の差別性は言葉の表現のされ方よりもその言葉を使う人間…

体罰が日常的に行われた時代があった

台湾のネット書店で購入したアニメーション映画『幸福路上』のDVDを観ました。台湾の近現代史を背景にしたストーリーもさることながら、画面の隅々にちりばめられた様々な細かい描写のリアリティに「ああ、この雰囲気!」と身もだえするような懐かしさを感じ…

なぜリベラルは敗け続けるのか

岡田憲治氏の『なぜリベラルは敗け続けるのか』を読みました。政治学に関する岡田氏の著書はこれまでにもほとんど読んできましたが、この本では「安倍一強」を許した野党の誤りと、そしてかつてご自身も政治活動にさまざまな形で参加しながら野党同様に現在…

あえて日本語で話すことが「クール」なのにね

先日、華人(チャイニーズ系)の留学生は、非漢字文化圏の留学生に比べて日本語の音声に対するこだわりが薄そうだ、それはたぶん漢字という強力なツールがあるために、日本語の音に頼らずとも深い理解が可能だからかもしれない……という話を書きました。qianc…

どうして私なんかに相談してくるのかな

教師という職業を長年(といってもほんの15年ほど、それも断続的にですが)やっていると、学生さんから、それも卒業後しばらく経ってから様々な相談を受けることがあります。それは学習上の悩みであることも多いですが、もっと重い、例えば就職についてとか…

翻訳の好みは人それぞれ

留学生の通訳翻訳クラスで「通訳翻訳概論」という授業を担当しています。通訳学や翻訳学の専門家でも何でもない私が担当するのは正直に申し上げて荷が重すぎるのですが、「そもそも通訳や翻訳とはどんな営みなのか」を様々な例を挙げながら学んでいくという…

シャドーイングにご用心

外出しているときは、たいていイヤホンを耳に装着して音を聞いています。音楽を聴いたり、能の謡を覚えるために聴いたりすることもありますが、たいていの場合は語学教材の「シャドーイング」をしています。中国語を使う仕事に向かうときは、速めの中国語教…

中国語圏の学生における発音とリスニングの弱点について

私が担当している留学生の通訳クラスは、中国語圏の学生と「それ以外」の学生がほぼ半々で在籍しており、中国語圏の学生は日中・中日通訳を訓練し、「それ以外」の学生は日英・英日通訳を訓練します。「それ以外」の学生には英語の母語話者もいますが、多く…

だからWindowsだけはよせと言ったじゃない

勤めている学校の一つで、職員一人一人に新しい業務用パソコンが支給されました。Windows10を搭載したノートパソコンです。これまで長い間Windows7のパソコンで業務を続けてきたのですが、Microsoftのサポートが終了し、さすがにセキュリティ上も問題がある…

誰にでも起こりうることとして

池上正樹氏の『大人のひきこもり』を読みました。川崎市の登戸駅近くで起きた大量殺傷事件と、その直後に練馬区の元農水事務次官が息子を刺殺した事件。いずれも中高年の「ひきこもり」がクローズアップされましたが、自分もこれまでの来し方行く末を考える…

カネ目当てに留学生を集めているんだろうと言われて

今朝の東京新聞に、千人以上の留学生が所在不明で問題になっている東京福祉大学の記事が乗っていました。www.tokyo-np.co.jp元教員は「研究生を無制限に集めた上、教室や教員を整備しなかった。大学は学費目当てで、金もうけしか考えていなかった」と証言し…

“核心価値”をつかむ通訳訓練

現在複数の学校で通訳のクラスを担当しているのですが、そのうちのひとつは華人留学生が学んでいる専門学校です。この学校の留学生は、ほとんどが日本語学校で日本語を一年から二年ほど学んで入学してくるのですが、通訳訓練を始めてしばらくは、なかなか訳…

舞囃子の申し合わせ

趣味で続けている能の温習会(発表会)が間近に迫り、昨日は「申し合わせ」がありました。申し合わせというのは、本番の前日や前々日あたりに実際に能舞台でお囃子や地謡の方々も参加した上で、ひととおり舞ってみることをいいます。リハーサルのようなもの…

語学クラスにおける日本人と華人の「生態」の違い

語学の授業をしていると、日本人(日本語母語話者)の生徒さんと華人(中国語母語話者)の生徒さんでは生態(失礼)がまったく違うことに気づきます。日本人の生徒さんはとにかく静かです。語学の授業なのにずっと押し黙っていて、「分かりました?」とか「…

「高齢男性はそこにいるだけでキモいもんじゃないか」をめぐって

いつも拝見しているfinalvent氏の『極東ブログ』に、興味深い記事が載っていました。同じくこれもいつも拝見している鴻上尚史氏の『AERA dot.』での連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」の一記事、「66歳男性が風呂場で…

公式サイトや研究不正に見る翻訳への無理解

これまで、東京都台東区公式サイトや元SMAPメンバーによるユニット「新しい地図」における、機械翻訳丸投げによる珍妙な中国語や英語をさんざっぱら批判ないし揶揄してきました。こうしたサイトの珍妙な翻訳は、私が奉職している学校の幅広い国や地域の留学…

星条旗の51番目の星

スマホで中国語の講義をいろいろと聴ける『得到』というアプリがありまして、その中の名物講義のひとつに“罗胖老师”こと罗振宇氏の『罗輯思維』というのがあります。ご自分の姓“罗(羅)”を使い、“逻辑思维(ロジカルシンキング)”をもじって『罗輯思維』で…

「着るものについて学ぶ」のその後

絶望的にファッションセンスがないものの、ビジネスカジュアルで通勤するようになって以降、「制服」みたいに着られる定番のコーティネートを探していました。制服というなら毎朝ほとんど何も考える必要のないスーツを選べばよいのですが、はっきり申し上げ…