インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しごと

「イデオロギッシュさん」の復調

私、台湾の離島を旅するのが好きでして、これまでにいろいろなところに行ってきました。台湾人の友人や留学生からは「どうしてまた?」と聞かれるんですけど、ひなびた漁村の風情や360度誰もいない景色などがなんとも素敵なんですよね。バイクを借りてゆっく…

イベント参加者の不思議な行動

勤めているいくつかの学校では、受験希望者のための説明会や体験レッスンや公開セミナーのようなイベントによくかり出されます。生まれついての大声と「香具師みたい」と評される話し方がみなさまの印象に残る私の特徴のようで、どこの学校でも「こいつに客…

中国語の感嘆詞や語気助詞に萌える

中国語には「感嘆詞(かんたんし)」(これは諸外語にありますが)や「語気助詞(ごきじょし)」というのがありまして、これは主に文頭や文末に短くついていろいろな意味やニュアンスを表す言葉です。日本語の「あらっ?」とか「おおっ!」とか、「~してく…

無駄な資料作りをやめたい

先日の日本経済新聞に興味深い記事が載っていました。「ロボットと競えますか」などと扇情的なわりにあまり的を射ていない見出しですが、この記事で重要なポイントは、今ある業務が自動化される・できる割合を国別に比較した場合に、主要国の中で最も高い割…

留学生の同時通訳実習

昨日は留学生の通訳クラスで、講演会形式で同時通訳の実習を行いました。うちの学校には同通ブースつきの立派な「国際会議室」なる部屋がありまして、その施設を使っての訓練です。 講演をしてくださる講師を外部から招き、「容赦のない」日本語で通常通りの…

だから私は恐がられる

昨日「なまはげ」や「パーントゥ」のような、人々から恐がられる異形の神々のことを書いたんですけど、かくいう私も昔から人に異様に恐がられます。もともと面相が「強面(こわもて)」で「厳つい(いかつい)」ということもあるのでしょう。歳を取った最近…

「歩留まり」の悪い教育

中国文学者の高島俊男氏が、ご著書で「教育とは歩留まりの悪いもの」とおっしゃっていました。どのご著書だったのか、手持ちの蔵書にあたってみるも、結局見つけられなかったのですが。「歩留まり」だなんて、まるで学生さんたちを生産ラインに並ぶ機械の部…

字幕翻訳ソフトをめぐる「大人の事情」

先日、字幕翻訳ソフト「SST G1」の開発・販売を行っているカンバス社から「不正競争防止法違反に基づく差止請求訴訟(勝訴判決)に関するお知らせ」という、少々「こわもて」な件名のメールが届きました。 https://canvass.co.jp/pdf/info20181129.pdf「SST …

語学は素直がいちばん

語学関係の講師をするいっぽうで、みずからも語学の学習者として教室に通っていると、ほんとうに様々なタイプの生徒さんがいるなあと思います。言語の学び方は人それぞれですから一概には言えないのですが、長い間観察してきたなかで「これでは上達しないの…

この国で働きたいと思ってくださる方々のために

つとめている専門学校では、早くも来年度4月入学生の入学試験が始まっておりまして、私も面接担当などで時々受験生のみなさんとお目にかかることになります。受験されるのは日本語能力検定試験でいえば二級レベル前後のみなさん。日本語での意思疎通は基本…

「にわかファン」になってお仕事へ

昨日は某台湾アイドルさんたちのファンミーティングで通訳のお仕事をしてきました。以前台湾エンタメの字幕翻訳をしていた関係で、時々「ファンミ」の通訳を仰せつかるのですが、なんというのかいつも「私みたいなオジさんが出ていっていいのかしら」的違和…

メンヘラさんに贈る言葉

現在つとめている専門学校では、年に数回「通訳実習」という授業がありまして、東京都内のあちこち(観光名所や官公庁、美術館や博物館など)に行って実際に逐次通訳をしたり、同時通訳ブースのついた国際会議室でセミナーや講演会などの同時通訳をしたりし…

星条旗迎風飄揚

先日、通訳訓練のクラスで使った教材に、数字の単位である“萬億”が出てきました。「億が一万個」ということですから「兆(ちょう)」ですね。こうした単位は訳しまちがえると「致命的」なので特に注意が必要なのですが、中国出身の方々はすんなり訳せた一方…

天野健太郎さんのこと

先日、翻訳家・天野健太郎氏の訃報に接しました。訃報はいつも突然のことですから今回も驚きましたが、今回の驚きはいつも以上でした。それは天野氏がまだ47歳という若さだったこと、そして直接お目にかかったことはないけれど、亡くなる直前まで精力的に翻…

「きちんと椅子を戻さない問題」をめぐって

うちの学校に「CALL(コール)教室」というのがあります。LL教室としての機能のほか、生徒ひとりひとりの机にパソコンが備えてあって、主に通訳訓練に使う教室なんですが、この教室で行う授業の最後に、いつも留学生のみなさんに言っていることがあります。 …

異文化や異民族に対するリテラシー

政府が前のめりになっている外国人労働者受け入れの拡大政策について、作家の室井佑月氏が『週刊朝日』に寄稿されています。dot.asahi.com 差別がいかに恥ずかしいかという教育がなされないまま外国人労働者を呼んでしまうことは、この国の逆広報にならない…

「英会話時代」という狂奔を前にして

見逃していた『クローズアップ現代+』の「どう乗り切る?英会話時代」を、NHKオンデマンドで見ました。www.nhk-ondemand.jp外国人観光客や労働者の急増を見据えて、社会の各層で英会話熱が盛んになっているという話題。メイドカフェや外食チェーン、観光タ…

名刺は単なるツール?

先日Twitterで見かけて、思わず笑ってしまったこちらのツイート。親が「若い社員が名刺の交換方法も知らない」つってて紙の交換に方法もクソもないだろと思ってたら本当に決まり事があるっぽい茶の湯かよ pic.twitter.com/nTxdaXGdhJ— 看護メン (@nursemens4…

通翻訳者をないがしろにすると国益を損なう

これまでにも何度かブログでご紹介したことがありますが、逐次通訳(ちくじつうやく)を「遂次通訳(すいじつうやく?)」と書くエージェントさんからまた一斉メールでお仕事のオファーが来ました。このエージェントさん「X社」はすべての案件を最初から「確…

肩の力の抜けぐあい

長塚京三氏へのインタビュー記事、ほかにもいくつか心に残った部分があるので追記します。www.chunichi.co.jp 台本は、ぱらっと、大体前日にファクスでいただきます。それをそんなにあっためるということはなくてね。現場のスタジオにさらりと行って、ぼつぼ…

引き際と語学講師の待遇について

先日の東京新聞朝刊に、俳優の長塚京三氏へのインタビュー記事が載っていました。www.chunichi.co.jpJR東海のCM「そうだ京都、行こう」のナレーションに25年でひと区切りをつけることについて、「惜しむ言葉をたくさんいただくうちが理想的な引き際」とおっ…

ポリリズムと変拍子

「ポリリズム」という曲をご存じでしょうか。youtu.be10年以上も前に発売された、Perfumeの代表作となっているこの曲。この「ポリリズム」が世に出る前の経緯をウィキペディアで読むと、少なからず驚きます。途中で出てくる複合拍子(ポリリズム:二つ以上の…

馬を水辺に連れて行くことはできても水を飲ませることはできない

学校の文化祭で留学生が演じる日本語劇、昨日の初日はなんとか滞りなく上演できました。途中で一、二度台詞が飛んだ場面があって、舞台袖に「プロンプター」として陣取っていた私が失念した台詞を入れたのですが、あとから留学生に「センセ、余計に緊張する…

大きな声が出せない?

通訳訓練や、通訳訓練の基礎となる日本語の音声訓練、さらには豊かな表現力を身につけるための演劇訓練。私は昔からこういう訓練、特に声を出す訓練に興味があって、いろいろな学校や教室やワークショップに参加してきました。それが今のお仕事に(ほんのわ…

小手先の技術に頼らない

学校の文化祭で披露する留学生の日本語劇、今週末の本番を前に、実際の舞台(といっても教室を利用した簡素なものですが)でゲネプロ(本番と同じように舞台で行う通し稽古)が始まりました。この期に及んでまだ台詞がうろ覚えという人もいますが、だんだん…

留学生が挑戦する「容赦のない日本語」

秋は学園祭や文化祭の季節です。私が奉職している学校では通訳訓練の一環として「演劇」を取り入れており、訓練の成果を文化祭で発表するので、留学生のみなさんはただいま稽古の真っ最中です。留学生の「出し物」というと、日本語がまだ拙いからということ…

通訳や翻訳が好きですか?

先日、某所で英語の通訳者さんとお話をしていて、ふと先日読んだトム・ハンクス氏の短編小説集『変わったタイプ』の話題になりました。qianchong.hatenablog.comそこから、「実は私、カズオ・イシグロ氏の作品が好きなんですけど」 「私も!」 「どの作品が…

「全部取り」すればいいのにね

昨日Twitterのタイムラインで、私の恩師である「とらねこ285」老師のこのツイートを読んで驚きました。日本人学生の繁体字アレルギーが甚だしい。クラスに台湾と香港の聴講生がいるので、先週、台湾の人が書いた繁体字の軽めのエッセイを教材として配った。…

もう少し怖れてもいいかもしれない

むかしむかし、通訳学校で学んでいた頃、ノートテイキング(メモ取り)の授業で講師の先生からこんな指導がありました。 何はなくとも数字、それに固有名詞だけはメモしてください。 そりゃそうですよね、数字や固有名詞(人名や地名、団体名などさまざま)…

無償労働を正当化した先には……

昨日、Twitterのタイムラインで拝見したこちらのツイート。ふざけんな。英語で選手に理学療法を提供できるようになるまでにどんだけの労力と時間とお金かけてると思ってんだ。誰がやるんやこんな案件。1日9時間、7日以上もプロとして仕事させたいなら最低200…