インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しごと

自分の持ち場に対する矜持のようなもの

私の職場は都心のターミナル駅にほど近い街なかにあって、系列の大学や大学院、専門学校などが集まったビル群のようなキャンパスになっています。本館のメインエントランスに守衛さんがいて、すべての部署や研究室の鍵を管理しており、毎朝そこへ行って職員…

留学生のカンニングに対して

留学生の通訳クラスでは、学期の間に何度か「単元テスト(小テスト)」を行います。テストといっても、通訳している音声を録音して仕事に耐えうるレベルかどうかを判定するだけで、しかもその内容は事前に授業で一度訳したものです。実際の現場における通訳…

今はまだ本気出してないだけ

世界各地から集まった留学生が文化祭で披露する日本語劇、いよいよ本番の日を迎えました。ここ数日は舞台の設営やリハーサルを行ってきたのですが、ここに来てようやく、なんとか形になってきました。本番直前なのに「なんとか」というのも情けない話なので…

留学生による日本語劇

秋に入り、文化祭の季節がやってまいりました。私が奉職している学校のあるキャンパスでも、学生さんが様々なイベントを行います。このキャンパスは大学院・大学・専門学校の複合施設なのですが、私が担当している専門学校の、通訳や翻訳を中心に日本語を学…

「日本語モード」のその後

先日、中国語圏の留学生と、非中国語圏の留学生とで、日本語の(特に口語の)上達具合にかなり開きが出る、という話題を書いたのですが……。qianchong.hatenablog.comそのあと、華人留学生のクラスで通訳訓練を行った際に、あまりにも日本語への訳出がこなれ…

華人留学生の頭がなかなか「日本語モード」にならない

職場で私が担当している学科には約80名ほどの留学生がおりまして、そのうちの半分が英語と日本語で、残りの半分が中国語と日本語で、通訳や翻訳やビジネスなどを学んでいます。「英日クラス」の留学生に英語の母語話者は少なく、大半が第二言語として英語を…

座り心地の良いバランスボール

バランスボールを買いました。職場で椅子のかわりに使うためです。腰痛が慢性化してきて、特に椅子に座ってデスクワークをしていると必ず「しくしく」してくるので、骨盤を立てるクッションを買い求め、椅子の背もたれを取ってみました。それでも、どうして…

大声に頼らないで人を動かす

私は声が大きいです。もともと演劇訓練などをやっていて地声が大きいというのもあるんですけど、そこへアナウンス学校やボイストレーニングなんかに通って「通る声」を訓練した結果、出そうと思えばどでかい会議室や教室じゅうに「ビリビリ」と響き渡るほど…

語学は確かに役には立つけれど

現在、複数の仕事を掛け持ちしていますが、メインで働いている職場は東京都心のターミナル駅から歩いて10分ほどのところにあります。その道の途中にとあるオフィスビルがあって、その前を通るときはいつもビルの8階か9階あたりを見上げてしまいます。以前…

成語なんかにリソースを割けない?

華人留学生の通訳訓練(中国語→日本語)で、“造句”をしてもらうことがあります。“造句(zàojù)”というのは中国語で、これを日本語で言えば「例文を作る」とでもなりましょうか。例えば通訳をしている際の「鬼門」のひとつ、成語やことわざや慣用句について…

調べてから聞いてほしい

プロ野球選手のダルビッシュ有氏が、「せめてある程度勉強してからメッセージください」とSNSで発言したことが話題、という記事を読みました。ネットで調べ物をしていた際のことです。この発言はTwitterでなされたもののようですね。 news.nifty.com なるほ…

留学生版「通訳機械の反乱」

ずいぶん以前のことですが、こんなディストピア小説のプロットを思いつきました。機械通訳が高度に発達した未来で、各言語の母語話者がそれぞれの母語の内輪だけで思考するようになった結果、思考のブレイクスルーがなくなってどんどん言葉がやせ細っていき…

語学における「威張り系」や「昔取った杵柄系」について

昨日は都内のとある通訳学校で、一日限りの短期講座を担当してきました。私みたいに細々と通訳業務や通訳教育を続けているだけの人間が講師というのも申し訳ないのですが、幸いにも毎回満席で、こちらも身が引き締まる思いです。一日限りなので、ふだんこの…

「通訳訓練でマスクを外さない」のは是か非か

あちこちの学校で教える立場に立っていると、いろいろな生徒さんに出会います。私が奉職してきたのは主に職業訓練的な学校で、仕事に直結させるスキルを訓練する場所なので、そこに通う生徒さんたちは当然「その職業につくためにはどうすればよいか」を真剣…

語学と教養は裏切らない?

いま勤めている学校では「クラス担任」というものを拝命しております。うちは専門学校でして、通っている留学生諸君は全員二十歳代から三十歳代の成人です。義務教育ではなく、大人が自分の意志で学びを選択する場所なので、いわゆる生活指導的な役割を果た…

母語なのに聴き取れない

華人留学生(出身地は中国・台湾・香港・マカオなど様々)の通訳訓練クラスを担当していると、時々おもしろいことが起こります。華人留学生なのに、つまり中国語が母語や準母語*1であるみなさんなのに、教材の中国語が分からない、あるいは聴き取れないこと…

「開いててよかった」から離れて

この夏、フィンランドでなかば「暮らすように」旅をしていて印象深かったのは、かの地のお店の営業時間が短いことでした。いえ、短いというより普通といったほうがいいのかもしれません。要するに「9時−5時」であったり週末や休日には閉まっているというだけ…

フィードバックをもらえるありがたさ

通訳学校は現在、秋学期の生徒募集時期ということで、どちらの学校も無料公開講座やセミナーなどを開催されています。eラーニングやネット動画を使った教材も増えている昨今、毎週毎週教室に足を運んで訓練する昔ながらのやり方じゃなくてもいいんじゃないか…

「分」を弁えて苦手な人からはすぐ逃げる

仕事をしているといろいろな方に出会います。人柄もそれぞれ、性格もそれぞれ、本当に人は千差万別なんだなあと思いますが、幸い私は人のご縁に恵まれているというか、現在間近で一緒に仕事をしている方々はみなさん「付かず離れず」、つまり仕事以外のプラ…

語学の「通学」に向かない方もいる?

留学生の通訳クラスでは、カリキュラムに演劇を取り入れています。これは日本語を「肉体化」してより活き活きと話せるようにするため、また人前で誰かに成り代わって話すという通訳者のお仕事の特性に鑑みて取り入れているものです。ネット上にある寸劇やコ…

「です・ます」と「だ・である」の使い分け

華人留学生の通訳クラスを担当していると、いろいろと面白いことに気づきます。私たちの学校の留学生はおおむね日本語学校で一年〜二年程度学んで入学してきた方々なので、正直に申し上げて日本語はまだまだ発展途上。というわけで、通訳の訓練というよりは…

芸術を志す若い方々とタバコの親和性

昨年「健康増進法」の一部が改正されたことにより、多数の人々が利用する学校施設でも受動喫煙防止のための措置を講じることが義務づけられました。原則としては「敷地(キャンパス)内禁煙」なのですが、屋外で、受動喫煙を防止するための対策が取られてい…

英語と数式満載の「理系」資料が出てきたら

通訳クラスで「素数」についての教材を扱いました。通訳者を目指す方はどちらかというと「文系」の方が多く(私もそうです)、数学だの物理だの科学技術だのといった「理系」の内容に疎い、あるいは苦手という方が多いです。でも一方で、実際のお仕事はむし…

「腰掛け」で仕事してると“緣分”が寄ってこない

先日、通訳学校の生徒さんから「キャリア相談」にのってくれませんかと話を持ちかけられました。教師という仕事をしていると、時々生徒さんからこうした就職や転職や進路などについての相談をされます。その際に一番よく聞かれるのは「センセは学校を卒業し…

「つるっつる」をめぐって

先日、学校の教員室に中国人留学生の男性(二十歳くらい)が課題のレポートを提出に来たんですけど、その彼が帰ったあとに同僚の教員がこんな声をあげていました。「脚がつるっつる〜!」なるほど、蒸し暑くなってきたこの時期、留学生のみなさんはより快適…

「話し方の訓練」をしているのかな

昨日は台湾の某テレビドラマに関連した「ファンミーティング」のお仕事でした。ドラマに出演している俳優さんたちが来日して、ファンとの“互動*1”をしたり、フォトセッションをしたり、握手会をしたり……。これまでにも何度もこうしたお仕事をしてきましたが…

日本統治時代の台湾におけるハンセン病患者隔離政策

昨日、元ハンセン病患者家族への賠償を命じた熊本地裁判決について、政府が控訴しない方針を決め、安倍首相が「異例のことではありますが、控訴をしないことといたしました」と表明しました。「異例のこと」に引っかかりますし(当然のことだと思うので)、…

対等な言葉遣いについて

BLOGOSに載っていた岩田健太郎氏のこちらの記事に共感を覚えました。いわゆる「言葉狩り」や教条主義的な語源重視(と、そこからの批判・批難)に対して、それは短見かつ「つまらぬこと」であり、言葉の差別性は言葉の表現のされ方よりもその言葉を使う人間…

体罰が日常的に行われた時代があった

台湾のネット書店で購入したアニメーション映画『幸福路上』のDVDを観ました。台湾の近現代史を背景にしたストーリーもさることながら、画面の隅々にちりばめられた様々な細かい描写のリアリティに「ああ、この雰囲気!」と身もだえするような懐かしさを感じ…

なぜリベラルは敗け続けるのか

岡田憲治氏の『なぜリベラルは敗け続けるのか』を読みました。政治学に関する岡田氏の著書はこれまでにもほとんど読んできましたが、この本では「安倍一強」を許した野党の誤りと、そしてかつてご自身も政治活動にさまざまな形で参加しながら野党同様に現在…