インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

しごと

留学生の「日本人化」

教師というお仕事を長くやっていると、いろいろな生徒さんのクラスに遭遇いたします。日本人(日本語母語話者)だけのクラス、華人(中国語母語話者)だけのクラス、日本人と華人の混成クラス、はたまたそれ以外の外国籍の方が多数参加しているクラス……。面…

武漢の新型肺炎とネット翻訳

中国の武漢で拡大が続いているとされている新型ウイルス肺炎、日本での報道が加熱してきました。報道に接する私たちは「正しく知り、正しく怖がる」ことが大切だと思うのですが、こうなってくると物事を冷静に判断できない人が増えてくるのは世の常。かつて…

ユーチューバーと蔡英文氏の話し方に圧倒される

先日も記事を書いたのですが、私は人前で話すのが苦手です。語学関係の「商売」をしておきながら「話すのが苦手」もないだろうと自分で自分にツッコミを入れたくなりますが、本当に苦手。苦手なだけじゃなくて「下手」だとさえ思います。これでもアナウンス…

優れたユーチューバーの話し方

語学講師や通訳者といった「人前で話す職業」に長年就いているというのに、いまだに人前で話すのが苦手です。そう言うと周囲の方からは「またまた〜」と突っ込まれるのですが、いや、これは謙遜とかそういうものではなくて、本当に苦手ですし、授業や会議な…

中国には恩がある

私、中国は「大好きだけれど大嫌い」です。「愛憎相半ばする」という言葉がありますけど、中国に留学していた当時から今に至るまで、ずっとそんな感情を抱いて過ごしてきました。中国に留学する前は単に「大好き♥」だったので、やはりこれはかの地に長く暮ら…

海洋ゴミに関する通訳教材

留学生の通訳クラスで、こんな映像を教材に使ってみました。いま大きな問題になりつつある「海洋ゴミ」をテーマにした講演です。【一席】劉永龍:海洋垃圾為什麼是個問題いま現在わたしたちが直面している、待ったなしの課題を扱っています。こうした内容を…

「次の時代に生きていける」スキルって?

いつも拝見している、ちきりん氏のブログで、昨年末にこんな記事が公開されていました。chikirin.hatenablog.com中高年が大量にリストラされる時代がやってきたというのがお話の前提で、中高年の私には切実な話題です。ちきりん氏によれば、それは世界全体で…

末端の現場は大変だ

私が勤めている学校では、語学教育や通訳翻訳訓練の際、生徒がパソコンを使う授業が数多くあります。そのためにノートパソコンがずらっと並んだ「パソコン教室」や、「CALL(Computer Assisted Language Learning)教室」などがあり、授業で用いる他に、生徒…

インタープリターズ・ハイ

年の瀬も押し迫ってまいりまして、留学生の通訳クラスは定期テストを行いました。この定期テストは、CALL教室で各自が合計一時間あまり延々と通訳し続けます。全体の三分の二ほどは授業で訳出練習をした内容の復習ですが、残り三分の一は「初見」、つまり初…

先生と呼ばないで

若い頃、松下竜一氏の著作を片っ端から読んでいた時期がありました。アルバイトをしていた八百屋さんのオヤジさんが松下氏の熱烈なファンで、大分県中津市の松下氏宅まで訪ねていっちゃうくらいの方だったのですが、私もその影響を受けて『豆腐屋の四季』を…

スマホは「誰かに消費される」ためのツール

以前、カル・ニューポート氏の『デジタル・ミニマリスト』という本について文章を書き、Twitterにも感想をつけて投稿したら、出版元の方から「この感想を本の帯に使わせていただけませんか」と連絡がありました。そこで「どうぞお使いください」とお返事した…

さよなら通訳業

先日、今年最後の「ミッション・インポッシブル」を終えました。とある理系学会のシンポジウムでの通訳です。私は根っからの文系人間なので、数値や数式や技術用語が飛び交う理系のお仕事はまるっきりの門外漢で(文系のお仕事だってそのほとんどが門外漢で…

通訳の訓練「だけ」していれば通訳が上手になるか

今年も残すところあと数週間。年が明けても学校の授業はほぼ1月中旬から始まり、程なく卒業のシーズンを迎えるので、実質的な授業日数はもうそんなに残っていません。2年前の春に入学してきた留学生のみなさんも、就職先や進学先が徐々に決まり始め、より…

『ロシア語だけの青春』からヒントを得た教案

語学学習者としても、また語学の教師としても様々な気づきがあった、黒田龍之助氏の『ロシア語だけの青春』ですが、私が購入した版には帯がついていて、そこにこんな惹句が書かれています。 ひたすら発音、そして暗唱 他のやり方は知らない なるほど、語学の…

同窓会には行きません

先日、同窓会について書かれた興味深い記事を読みました。お笑い芸人の岩井勇気氏(ハライチ)が、にぎやかな場所が好きそうな芸人さんのイメージに反して「大勢の人が集まるパーティーや飲み会はかなり苦手」で、「なるべく行かないようにしているのが同窓…

あまり教師に向いてない

うちの学校で、二年間の専門課程を学んでいる留学生のうち、約半数は華人(チャイニーズ)、つまり中国語が母語の留学生です(一部に広東語が母語の留学生も)。ほとんどの学生は、自分の日本語を仕事で使えるレベルにまで持っていって、将来は日本で働くか…

ロシア語だけの青春・その2

黒田龍之介氏の『ロシア語だけの青春』を読んで。昨日からの続きです。qianchong.hatenablog.com 語学教師としての視点から 昨日書いたのは学習者としての視点ですが、教師としての視点にも首肯することしきりでした。 ●生徒の発音を笑わない。 これはとても…

ロシア語だけの青春

黒田龍之助氏の『ロシア語だけの青春』を読みました。一読、次々に付箋を貼りたくなるくだりが続出、でもページの先を早くめくりたくて、小さな付箋紙を貼り付けるのももどかしく思いながら、一気に読み終えてしまいました。いや〜、これは語学好きにはたま…

Windowsが世界標準になったことは人類の不幸だった

先日読んだこちらの記事。「PCよりMacの方が社員の生産性や満足度が高い」という内容で、思わず「その通り!」と叫んでしまいました。gigazine.net私はパソコンの黎明期から(というか、その前のワープロ専用機から)PC、つまりWindows(一番最初はMS-DOS)…

能楽を盛り上げる「熱」について

勤務先の学校では、世界各地から集まった約80名ほどの外国人留学生が、日本語と通訳・翻訳などを学んでいます。せっかく日本で学んでいるのだからということで、日本文化に関するカリキュラムもいくつか組まれているのですが、そのうちのひとつに伝統芸能鑑…

自分の持ち場に対する矜持のようなもの

私の職場は都心のターミナル駅にほど近い街なかにあって、系列の大学や大学院、専門学校などが集まったビル群のようなキャンパスになっています。本館のメインエントランスに守衛さんがいて、すべての部署や研究室の鍵を管理しており、毎朝そこへ行って職員…

留学生のカンニングに対して

留学生の通訳クラスでは、学期の間に何度か「単元テスト(小テスト)」を行います。テストといっても、通訳している音声を録音して仕事に耐えうるレベルかどうかを判定するだけで、しかもその内容は事前に授業で一度訳したものです。実際の現場における通訳…

今はまだ本気出してないだけ

世界各地から集まった留学生が文化祭で披露する日本語劇、いよいよ本番の日を迎えました。ここ数日は舞台の設営やリハーサルを行ってきたのですが、ここに来てようやく、なんとか形になってきました。本番直前なのに「なんとか」というのも情けない話なので…

留学生による日本語劇

秋に入り、文化祭の季節がやってまいりました。私が奉職している学校のあるキャンパスでも、学生さんが様々なイベントを行います。このキャンパスは大学院・大学・専門学校の複合施設なのですが、私が担当している専門学校の、通訳や翻訳を中心に日本語を学…

「日本語モード」のその後

先日、中国語圏の留学生と、非中国語圏の留学生とで、日本語の(特に口語の)上達具合にかなり開きが出る、という話題を書いたのですが……。qianchong.hatenablog.comそのあと、華人留学生のクラスで通訳訓練を行った際に、あまりにも日本語への訳出がこなれ…

華人留学生の頭がなかなか「日本語モード」にならない

職場で私が担当している学科には約80名ほどの留学生がおりまして、そのうちの半分が英語と日本語で、残りの半分が中国語と日本語で、通訳や翻訳やビジネスなどを学んでいます。「英日クラス」の留学生に英語の母語話者は少なく、大半が第二言語として英語を…

座り心地の良いバランスボール

バランスボールを買いました。職場で椅子のかわりに使うためです。腰痛が慢性化してきて、特に椅子に座ってデスクワークをしていると必ず「しくしく」してくるので、骨盤を立てるクッションを買い求め、椅子の背もたれを取ってみました。それでも、どうして…

大声に頼らないで人を動かす

私は声が大きいです。もともと演劇訓練などをやっていて地声が大きいというのもあるんですけど、そこへアナウンス学校やボイストレーニングなんかに通って「通る声」を訓練した結果、出そうと思えばどでかい会議室や教室じゅうに「ビリビリ」と響き渡るほど…

語学は確かに役には立つけれど

現在、複数の仕事を掛け持ちしていますが、メインで働いている職場は東京都心のターミナル駅から歩いて10分ほどのところにあります。その道の途中にとあるオフィスビルがあって、その前を通るときはいつもビルの8階か9階あたりを見上げてしまいます。以前…

成語なんかにリソースを割けない?

華人留学生の通訳訓練(中国語→日本語)で、“造句”をしてもらうことがあります。“造句(zàojù)”というのは中国語で、これを日本語で言えば「例文を作る」とでもなりましょうか。例えば通訳をしている際の「鬼門」のひとつ、成語やことわざや慣用句について…