インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ことば

前車覆而後車戒。

先日、とあるファッションビジネス系の大学院における「華人率」の高さについて書きました。qianchong.hatenablog.comそれでいろいろと興味を持って、その大学図書館でこの本を借りて読んでみました。 誰がアパレルを殺すのかさすがファッション系の学部があ…

Et tu, JETRO?

以前、エージェント(通訳者の派遣業者)のウェブサイトにこんな記事を寄稿したことがあります。haken.issjp.com現在、多くのフリーランス通訳者を悩ませていると思われる「仮案件とリリース」についてはこの記事に当たっていただければ幸いですが、エージェ…

日本語教師が外語を学ぶ必要について

人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)は日本語教師の仕事をうばうのか。そんな問いをテーマの一つに掲げた日本語教育関係のセミナーに出席してきました。もとより日本語教師ではない私は少々場違いではあったのですが「日本語教育とAI、ICT」というテーマが…

続ける習慣について

「三日坊主」のことを中国語で“三天打魚兩天曬網(三日漁をしたら二日網を干す)”といいます。三日働いて二日休むなんて、現代ではむしろ理想的な仕事の仕方じゃないかと思いますけど、まあそれは脇に置いて……。留学生の通訳クラスで英語から日本語へのサマ…

『英子の森』を読んで身悶える

松田青子氏*1の小説『英子の森』を読みました。 英子の森 (河出文庫)文庫版の帯に、翻訳家の鴻巣友季子氏による解説の一部が惹句として載せられています。 おもしろい。そして怖すぎる。さあ、みなさん、手にとってください、読んでください。「グローバル英…

日本語読みで呼ばれたい?

昨年の8月、東京新聞の投書欄にこのような意見が載りました。確かに、例えば私の苗字である「徳久(とくひさ)」は、英語だと“Mr. Tokuhisa.”と呼ばれる*1のに、中国語では“徳久先生(Déjiǔ xiānsheng)”と「徳久」の漢字が中国語読み(カタカナでは正確に表…

カリカチュアの危うさ

昨日書いた「クックドゥ」のCM、その奇妙な中国語の発音について書きましたけど、これ、もしかするとギャグでやっているのかもしれないな、と思いました。異文化や異言語を題材にして「カリカチュアライズ(戯画化)」するというの、お笑いの一手法ではあり…

チェックしてもらえばいいのにな

海外へ行くときは、たいがいWi-Fiのルータをレンタルしています。先日台湾へ行ったときも、空港で借りて空港で返せるルータを借りました。台湾では、ホテルやカフェなどでたいがいフリーWi-Fiが使えるので、あまりレンタルする必要もないほどなのですが、街…

一食抜くなど信じられない?

「不定愁訴とその後」でも書いたんですけど、体調が良し悪しが飲食、それも飲食の量と密接に関わっていることが実感できるようになってから、基本的にはお昼ご飯を抜くか、ほんの少し(例えばバナナ一本とか、ソイジョイ一本とか)しか食べないようになりま…

挨拶としての「せーっ」

かねてよりコンビニやアパレルショップなどの男性店員が「いらっしゃいませ」を「しゃっせー」などと短く発音する現象に注目してまいりましたが、先日とあるお店でついに「せーっ」と発音する方に遭遇しました。言葉の経済性、ここに極まれりです。このお店…

差異を認めて知ろうとすること

見逃していた正月時代劇の『風雲児たち~蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)~』、NHKオンデマンドに早くも上がっていたのでさっそく視聴しました。 http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017084181SC000/index.html?capid=sns002 みなもと太郎氏の同名…

「ペラペラ」だなんておこがましくてとても言えない

もうずいぶん前のことですけど、毎日新聞に「村上春樹さん、村上文学を語る」という特集記事が載っていました。当時はウェブ版に未掲載でしたが、今はネットで一部が読めるようになっています。例えばこちら。http://www.47news.jp/smp/47topics/e/264863.ph…

iPhoneやAndroidは機械通訳の夢を見せるか

「言語の壁は崩壊寸前」という、興味深い記事を読みました。こういう話題に接すると、商売柄すぐに「食えなくなるかも」といったナマな思考回路が働くのですが、そこをいったん離れてもっと大きな空想をしてみたいと思いました。jp.wsj.com三年ほど前に「自…

私たちのナイーブな言語観について

台湾の総統(大統領)選挙と立法院(国会)議員選挙が行われ、民進党の蔡英文氏が大統領に当選、立法院でも民進党が議席の過半数を占めるという「完全勝利」で幕を閉じました。一昨年、「反服貿」の「ひまわり学運」が立法院占拠という形に発展した際、日本…

何に旅情を感じるかについて

先日台湾へ出張した際、ホテルで朝食券をもらったんですが遠慮して、近くの「早餐店」に出かけました。このホテルには前にも泊まったことがあって、朝食はバイキング形式で豪華でもあるんですけど、なにかこう「いまひとつ」なんですよね。特に「台灣特色」…

「エロ」くて「オヤジギャグ」な古典

夏の「研修会」でいくつか仕舞の地謡を仰せつかったので、謡をせっせと覚えています。iPodに入れた謡をエンドレスで聞きながら詞章や拍子や節を身体に覚え込ませるんですけど、基本は学生時代に最も苦手としていた「古文」の世界ですから、なかなか身体に入…

大雑把な質問

『報道ステーション』を見ていたら、ワールドカップの決勝で負けたことについて記者が岩清水梓選手に「サッカー人生の中で何番目の悔しさですか」とインタビューをしていました。岩清水氏は困惑しつつも「三番以内には入りますね」と答えていました*1が、こ…

「ナマリング」のすすめ

かつて毛沢東主席や周恩来総理といった要人の通訳をつとめ、文化部副部長などを歴任された劉徳有氏がこんなことを仰っています。 在学校里你听惯了某一个老师的中文课,那个中国话可能是标准话,普通话。突然进入社会,接触各色人等,再听那些你所不习惯的中…

ディクテーションのすすめ

先日の通訳スクールでは、台湾の江宜樺行政院長の記者会見映像を訓練に使いました。その晩に統一地方選惨敗の責任をとって辞任されちゃいましたけど。いえ、単なる偶然ですが。でもって今朝の新聞には馬英九大統領(総統)も国民党の主席を辞任というニュー…

母語ではなくても推したり敲いたりできるか

台風が関東地方を直撃した昨日は、朝から都内某所でお仕事でした。私は千葉県の奥地に住んでいて、常磐線が停まってしまったら代替輸送機関を探すのはほぼ不可能な場所なので、万一を考えてお仕事の現場近くに前泊しちゃいました。格安のビジネスホテルです…

母語を学ぶことと外語を学ぶこと

平川克美氏の『グローバリズムという病』を読みました。株式会社をはじめとしたビジネスの論理だけで生き方を考えることに警鐘を鳴らしていて、快哉を叫びました。地域を捨て、文化を捨て、母語を捨て、様々な差異を捨てて「グローバル」なるものに溶け込む…

国に棄てられた人々

昨日、都内の某大学で、台湾の近現代史に関する簡単なレクチャーを行ってきました。レクチャーといっても私は台湾近現代史の専門家でも何でもないんですけど、仕事などでその地域に関わっている社会人を講師に招いて話させるという連続講座のひとつというこ…

新聞を読みましょう

通訳学校で、春学期の授業が始まりました。半年間の訓練の最初に行うガイダンスで、いつも「一般常識テスト」を行っています。と言ってもたいしたものではなく、日本と中国語圏の時事や教養に関する語彙について、口頭で簡単に説明してもらうだけです。今春…

台湾の“反服貿”について覚えた違和感

ここのところ連日、台湾の“反服貿”運動の動向を注視しています。“服貿”は“服務(サービス)貿易”の略。中国語で“海峽兩岸服貿協議”、日本語では「両岸(中国と台湾)サービス貿易協定」と訳されている、2010年に締結された「経済協力枠組み協定(ECFA)」に…

能とバッハとロックンロール

朝、細君を駅へ送った帰りに、車の中でInterFMの“Barakan Morning”を聴いていたら、珍しくバッハがかかっていました。番組のウェブサイトによると、"BWV 1067, MENUET ー BADINERIE" AURèLE NICOLET & KARL RICHTER & MUNICH BACH ORCHESTRA です。ネットで…

横断幕の裏に見えるもの

今月八日、サッカーJリーグの浦和レッズとサガン鳥栖の試合が行われた埼玉スタジアムで、“JAPANESE ONLY”と書かれた横断幕が掲げられ、Jリーグはこの横断幕を差別的だと判断、速やかに対応しなかったレッズ側にも責任があるとして、「無観客試合」などを含…

通訳者は「ひとりだけ門外漢」なのでぜひとも資料をいただきたいです

先々週から今週にかけて、通訳の仕事で少々忙しくしていました。といっても外に出かけるのは間欠泉的にであって、多くの時間を在宅ワークに充てているので、うちのお義父さんなんかは「あいつは全然働かねえな」と思っているかもしれません。 だいたい、通訳…

二つの対照的な対談

土曜日の午後、二つの対談イベントを「はしご」してきました。期せずしてとても対照的な対談でした。一つは、ピーター・バラカン氏と佐々木俊尚氏の対談です。池袋の東京芸術劇場で開催されている『Moving Distance:2579枚の写真と11通の手紙』というジャン…

「母語なんてちょろい」のか

先日のエントリで、「語学なんて『ちょろい』でしょ」という信憑について書きましたが、Twitterでは台湾の方からこんなリプライをいただきました。@QianChong 本当に不思議です。 日本の殆どの方が英語を学ぶのに苦労してきたり、外国語はなかなかマスター出…

通訳は「ちょろい」職業か

春節休暇(今年の春節は1月31日)のためか、都心に出ると観光客とおぼしきチャイニーズのみなさんを多く見かけます。日本の洗練されたところも、そうでないところも見て行ってほしいですね。本来の姿をありのままに体験してもらうだけで十分「おもてなし」に…