インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ことば

公式サイトや研究不正に見る翻訳への無理解

これまで、東京都台東区公式サイトや元SMAPメンバーによるユニット「新しい地図」における、機械翻訳丸投げによる珍妙な中国語や英語をさんざっぱら批判ないし揶揄してきました。こうしたサイトの珍妙な翻訳は、私が奉職している学校の幅広い国や地域の留学…

星条旗の51番目の星

スマホで中国語の講義をいろいろと聴ける『得到』というアプリがありまして、その中の名物講義のひとつに“罗胖老师”こと罗振宇氏の『罗輯思維』というのがあります。ご自分の姓“罗(羅)”を使い、“逻辑思维(ロジカルシンキング)”をもじって『罗輯思維』で…

フィンランド語 35 …過去形の否定形

動詞の過去形の、否定形を学びました。過去形の否定形には「過去分詞」を使います。この過去分詞はのちのち現在完了形や過去完了形にも使われるそうです。Minä en Sinä et +過去分詞(単数) Hän eiMe emme Te ette +過去分詞(複数) He eivät過去形の変…

「ひとさまの通訳を聞いて」のその後

先日、北海道日本ファイターズの台湾人選手・王柏融氏へのヒーローインタビューで、通訳者さんの訳がテキトーすぎるんじゃないか、ファンは怒った方がいいんじゃないかという記事を書きました。qianchong.hatenablog.comこれについて、Twitterで野球やスポー…

フィンランド語 34 …動詞のまとめ

フィンランド語、まだまだ細々と学び続けています。動詞の過去形を一通り学び終えたので、先生から「ここいらで動詞の現在形と過去形を復習してみましょう」と促されました。 動詞の人称変化 フィンランド語の動詞は「人称変化」をします。つまり1・2・3…

ひとさまの通訳を聞いて

これまで、自分が通訳している音声や映像がネットにアップロードされたことが何度かありました。それはラジオ番組だったり,YouTubeだったりするのですが、業務終了後も半ば永遠にこうやって訳出が晒されるのって、ちょっと理不尽でもありますよね。それはさ…

「お疲れ様」をめぐって

先日、Twitterでたまたまこんなツイートを目にしました。ファッションモデル・歌手・女優(Wikipediaより)の山田優氏がインスタグラムに書き込んだ「天皇皇后両陛下お疲れ様でした」という言葉が失礼だとして「炎上中」というのです。山田優さんの「天皇皇…

ふたたび見知らぬ人に声をかける

先日東京メトロの青山一丁目駅、半蔵門線のホームを歩いていたら、大道芸でジャグリングだか奇術だかをやっていそうなコスチュームの欧米人とおぼしき男性がいました。素敵な格好だったので思わず「その服、いいですね」と声をかけようとしたんですけど、な…

背景知識が後押しする訳出

こちらの動画、任天堂がアメリカで『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ』というゲームをプレゼンテーションする「ツリーハウスライブ」の様子です。youtu.beこの映像を見て、多言語コミュニケーションの新しい地平を見るような感覚にとらわれました。…

拙を守って田園に帰る

毎朝毎晩、通勤電車に揺られるたびに、人の多さに酔いそうになります。自分もその「人」のひとりであるのですから、全く身勝手なものいいですが、東京都心の、出退勤時の人の多さはちょっと異様ですよね。これでも「ピークオフ」と言いますか、ジムで朝活を…

セレクトショップにおける言葉の経済性

週一回、東京から横浜まで電車に乗って、フィンランド語の講座に通っています。わざわざ横浜まで通うのはたまたま都心に私のレベルに合ったクラスが開講されていないからですが、行き帰りの30分ほどの車内で予習や復習ができるので、通うのもそんなに苦には…

容赦なく追い込める

先日ジムでパーソナルトレーニングを受けていたら、トレーナーさんが面白いことをおっしゃっていました。「お客さん(私のこと)だから追い込めるんですよ」。ここのジムは予約不要で、行ったときにたまたま空いているトレーナーさんが指導してくださる(カ…

「めっちゃ、ヤバいっす」をめぐって

日頃から、いわゆる「日本語の乱れ」についてはできるだけ寛容でありたいと思っています。私は日本語母語話者ですが、言葉は世につれ人につれ常に変化していくものですから、私の「よし」とする日本語だけが正しいとはとても言えないからです。これはまた、…

無理して知ろうとしない

NHKの『世界ふれあい街歩き』、いつも楽しみに見ているこの番組の先回は、イタリアはシチリア島の都市、パレルモの巻でした。www.nhk-ondemand.jp「古代から東ローマ、イスラム、ノルマン、スペインなど支配者が代わった歴史が、異文化に寛容で独特な文化を…

語学に全人生を捧げない

単なる思いつきで学び始めたフィンランド語、いまも細々と続けています。「猫の言葉」と呼んだ先達がいるほど「ニーン」とか「ニュット」とか「モイモイ」とかカワイイ発音が多いフィンランド語ですが、一方でその複雑な格変化などから「悪魔の言語」とも形…

「落とし穴満載感」ハンパない通訳者のお仕事

「シンクロニシティ」という現象をご存じでしょうか。Wikipediaには「複数の出来事が意味的関連を呈しながら非因果的に同時に起きること」と何やら難しいことが書かれていますが、要するに特に意図したわけでもないのに暮らしの中で起こる奇妙な符合のことで…

苦手な春に

私は春が苦手です。新年度や新学期ということで、何かこう、世の中全体が浮き立つような感じになっている、その「わさわさ」した感じに心落ち着かなくて。三寒四温で気温が乱高下するため体調を崩しやすいですし、花粉症ではないものの何となく鼻がむずむず…

再現性と個性

こちらのインタビュー記事、とても興味深く、また共感を持って読みました。能楽喜多流の能楽師、高林白牛口二(たかばやしこうじ)氏に取材した記事です。www.sbbit.jp 再現性について 共感を持ったのは例えば、AIやロボットの技術で優れた技芸を保存したり…

語学が楽器演奏や筋トレに似ている件について

集英社の季刊誌『kotoba』、現在発売中の春号は特集が「日本人と英語」で、合計百数十ページにわたって多彩な論者が登場し、とても考えさせられる内容です。その中で、マーク・ピーターセン氏とピーター・バラカン氏の「日本語と英語のはざまを考える」と題…

「サカイマッスル」をめぐる騒動を眺めながら

数日来「サカイマッスル」の話題でTwitterが盛り上がっていました。大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)の公式サイトにある外語ページが、「堺筋」を “Sakai muscle” とするなど自動翻訳ソフトによる珍妙な訳語をそのまま使っていたことから、指摘を受けて閉鎖に…

漢字の成り立ち

中学生のころ、「レタリング」に惹かれていました。パソコンとプリンタで扱えるフォントが普及した今となってはそのあまりの変化の大きさに呆然としてしまうくらいなのですが、かつて文字を一つ一つ手作業で描き出すという職業があったのです。私はその職業…

わが仏尊し

草柳大蔵氏の『ひとは生きてきたようにしか死なない』を読みました。20年ほど前に出版された単行本が新書化されたものです。ネット書店でこの本を見つけたとき、そのタイトルに惹かれました。以前、「人は、それまで生きてきたように死んでいくもの」という…

ペダンチックな私

先日YouTubeでいくつかの「TEDトーク」を視聴しているうちに、ウィル・スティーブン氏の「TEDxで賢そうにプレゼンする秘訣」という動画に偶然行き着きました。youtu.beスタンダップコメディみたいな一種のお笑いパフォーマンスですけど、いかにもTEDふうのプ…

“便宜”を貪る人たち

Twitterで武田砂鉄氏がこんなツイートをされていました。確定申告のための書類を整理していると、「お役所が嘘つきまくっているんだから、こっちも嘘つきまくるか!!!」と意気込むのだが、結局、ちゃんとやってしまう。国民に嘘つきまくっている人たちって…

誰かの草履を綯っている

先日の東京新聞朝刊に、木ノ下歌舞伎主催の木ノ下裕一氏がコラムを寄せていました。毎回楽しみに読んでいるコラムですが、今回も落語に出てくるという「箱根山、駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」との言葉がいいなと思いました。社会はさまざまな…

「人となり」を知れば見方が変わるかもしれない

作家の林真理子氏が『週刊文春』で、最近ハワイでは中国人と中国語が「幅をきかせている」という書き出しのエッセイを寄せたことに対して、ネット上で「ヘイトスピーチではないか」批判されていました。すでにひと月以上前の話題ですが、今さらながら知った…

学校は「遠きにありて思ふもの」

三月は学校の年度末。すべての授業が終了し期末試験の結果も出て、卒業式のシーズン到来です。というわけで先日、同僚の中国人講師に「生徒との別れが名残惜しくて……センセも?」と聞かれたんですが、私は答えに窮してしまいました。特に名残惜しいと感じな…

言葉のヒゲを刈り込むには

「冗語(じょうご)」という言葉があります。発言する際に、おおむね無意識のうちに差し挟まれる、発言の内容とは関係のない言葉のことです。例えば、話し始めに入る「えー」とか「あのー」「そのー」「このー」といった間投詞、あるいは「〜でですね」とか…

『ナカイの窓』と同じ心性は自分にもあるかもしれない

コンビニで働く外国人労働者の日本語を揶揄したこちらの番組が、TwitterなどのSNS上で「大炎上」していました。詳しい経緯はこちらの記事で知ることができます。wezz-y.com私も以前Twitterで以下のようなツイートをしたことがあるのですが、こうした、ちょっ…

アウトプットとしての「過去形ノック」

先日、フィンランド語の授業で、複雑極まりない動詞の過去形を教わった際、先生が「過去形の作り方を一枚の紙にまとめてみるといいですよ」と言っていました。授業の最後に「さらっ」とおっしゃったのですが、こういう指示はとても大切です。私見ですけど、…