インタプリタかなくぎ流

“Might come in handy one day.”

ことば

しまじまの旅 たびたびの旅 39 ……芹壁村のスローガン

芹壁村はあちこちにスローガンがありました。中国大陸に肉薄している場所としての、かつての緊張感が静かに伝わって来るような気がします。“發揚媽祖精神”。馬祖精神を発揮しよう。“軍民合作”。軍と民間は力を合わせよう。“光𣸪(光復)大陸”。大陸を解放し…

上品な外語を話したい

先日、とある仕事の現場で、とても中国語の流暢な日本の方にお目にかかりました。ただ、とても流暢なんですけど、ごめんなさい、とても「下卑た」中国語を話されていました。ビジネスの現場なのに、口語調が強すぎるというか、くだけすぎてるというか、「タ…

何のための語学?

Twitterで阿部公彦氏(@jumping5555)が公開されていた「英語はしゃべれなくていいは珍説か」にひかれて、『アステイオン』082号を買いました。阿部氏の文章の他にも興味深い論考がたくさんあって楽しかったのですが、なかでもトマーシュ・ユルコヴィッチ氏…

北欧でも中国語が重宝した件について

先日、Twitterで以下のようなツイートに接して、とても共感しました。中国語が出来ると、新疆の国境地帯やチベット高原や満州でも、南方の香港・マカオでも、コミュニケーション出来る。中国語学習とは、何千年かけて中国人がアジアで拡大した「文化的プラッ…

しまじまの旅 たびたびの旅 27 ……ムーミンとムラカミ推し

先般、大学入試センター試験で「ムーミン」を扱った問題が話題になっていました。mainichi.jpヘルシンキでは、当然のようにムーミンがそこここで見られました。テレビアニメもムーミン(かつて日本で作られたものではなく、オリジナルのようです)、お土産も…

通訳者や翻訳者の仕事はなくなりますかと問われて

日本経済新聞のサイトで、こんなニュースに接しました。「翻訳機*1ポケトーク」の話題です。すでにYouTubeにも動画が上がっています。youtu.be 通訳学校の春学期を控えたこの時期、公開講座やセミナーの講師で登壇することがあるのですが、そうしたイベント…

しまじまの旅 たびたびの旅 20 ……台鐵便當

あちこち寄り道しながら、各駅停車の電車で台北に戻ってきました。これで台湾をぐるっと一周「環島」(沿岸部だけですけど)したことになります。台北駅に着いたのがちょうどお昼前だったので、駅で「台鐵便當」を買い、駅前の植え込みのそばに座って食べま…

漢字が持つビジュアルとしての訴求力

先日、オーストラリアの海岸で132年前の「瓶入り手紙」が見つかったというニュースに接しました。www.afpbb.comこのニュースに関して、後日東京新聞の「筆洗」にこんな論評が載っていました。 瓶の奇跡的な発見にも驚かされるが、同時に感心させられるのは、…

見知らぬ人に声をかける

以前Twitterでこういうツイートに接したんですけど、いいですねえ、こういうの。アメリカ人のいきなり話しかけてくる率の高さはものすごく飛行機の座席が隣とかエレベーターの中とかは当たり前で、街を歩いていて「おいお前!」と呼びかけられてなにかと思え…

「言葉の壁をなくす」のならもっと大きな夢を持とうよ

またまた新聞にAI通訳の記事が載っていました。今度は日本経済新聞、それも一面トップ記事です。 www.nikkei.com「同時通訳システム」という文字に興味津々で読んだのですが、翻訳データ蓄積の話がメインで、深層学習で高次の通訳が可能かについては触れられ…

自動でディクテーションできちゃった

む〜、いつかはそうなるだろうと思っていましたが、ついにこうなりましたか……。いや、昨晩こんな記事を拝見したのです。note.mu先般Google Documentの「OCRっぷり」がすごい、という話題に接していたので、これはもう早晩、音声から直接文字に、つまり“聽寫…

機械的な翻訳で何を発信しようとしているのか

以前Twitterで、このようなツイートを拝見しました。最近、我が街の駅に掲示された多言語表示。またのお越しをお待ちしていますの中国語訳、これでいいのか?初めて見る表現だが。 pic.twitter.com/6WV2CZeIdY— ばび夫 (@babiwo) 2017年11月21日外国人観光客…

「遂次」通訳について

先日、一斉メールで通訳者にオファーを出し、採用者以外には返事を出さないエージェント(通訳者の派遣業者)「X社」の話を書きました。qianchong.hatenablog.com……と、またまた「X社」からオファーのメールが届きました。以前募集した案件の通訳者が足りな…

前車覆而後車戒。

先日、とあるファッションビジネス系の大学院における「華人率」の高さについて書きました。qianchong.hatenablog.comそれでいろいろと興味を持って、その大学図書館でこの本を借りて読んでみました。 誰がアパレルを殺すのかさすがファッション系の学部があ…

Et tu, JETRO?

以前、エージェント(通訳者の派遣業者)のウェブサイトにこんな記事を寄稿したことがあります。haken.issjp.com現在、多くのフリーランス通訳者を悩ませていると思われる「仮案件とリリース」についてはこの記事に当たっていただければ幸いですが、エージェ…

日本語教師が外語を学ぶ必要について

人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)は日本語教師の仕事をうばうのか。そんな問いをテーマの一つに掲げた日本語教育関係のセミナーに出席してきました。もとより日本語教師ではない私は少々場違いではあったのですが「日本語教育とAI、ICT」というテーマが…

続ける習慣について

「三日坊主」のことを中国語で“三天打魚兩天曬網(三日漁をしたら二日網を干す)”といいます。三日働いて二日休むなんて、現代ではむしろ理想的な仕事の仕方じゃないかと思いますけど、まあそれは脇に置いて……。留学生の通訳クラスで英語から日本語へのサマ…

『英子の森』を読んで身悶える

松田青子氏*1の小説『英子の森』を読みました。 英子の森 (河出文庫)文庫版の帯に、翻訳家の鴻巣友季子氏による解説の一部が惹句として載せられています。 おもしろい。そして怖すぎる。さあ、みなさん、手にとってください、読んでください。「グローバル英…

日本語読みで呼ばれたい?

昨年の8月、東京新聞の投書欄にこのような意見が載りました。確かに、例えば私の苗字である「徳久(とくひさ)」は、英語だと“Mr. Tokuhisa.”と呼ばれる*1のに、中国語では“徳久先生(Déjiǔ xiānsheng)”と「徳久」の漢字が中国語読み(カタカナでは正確に表…

カリカチュアの危うさ

昨日書いた「クックドゥ」のCM、その奇妙な中国語の発音について書きましたけど、これ、もしかするとギャグでやっているのかもしれないな、と思いました。異文化や異言語を題材にして「カリカチュアライズ(戯画化)」するというの、お笑いの一手法ではあり…

チェックしてもらえばいいのにな

海外へ行くときは、たいがいWi-Fiのルータをレンタルしています。先日台湾へ行ったときも、空港で借りて空港で返せるルータを借りました。台湾では、ホテルやカフェなどでたいがいフリーWi-Fiが使えるので、あまりレンタルする必要もないほどなのですが、街…

一食抜くなど信じられない?

「不定愁訴とその後」でも書いたんですけど、体調が良し悪しが飲食、それも飲食の量と密接に関わっていることが実感できるようになってから、基本的にはお昼ご飯を抜くか、ほんの少し(例えばバナナ一本とか、ソイジョイ一本とか)しか食べないようになりま…

挨拶としての「せーっ」

かねてよりコンビニやアパレルショップなどの男性店員が「いらっしゃいませ」を「しゃっせー」などと短く発音する現象に注目してまいりましたが、先日とあるお店でついに「せーっ」と発音する方に遭遇しました。言葉の経済性、ここに極まれりです。このお店…

差異を認めて知ろうとすること

見逃していた正月時代劇の『風雲児たち~蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)~』、NHKオンデマンドに早くも上がっていたのでさっそく視聴しました。 http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2017084181SC000/index.html?capid=sns002 みなもと太郎氏の同名…

「ペラペラ」だなんておこがましくてとても言えない

もうずいぶん前のことですけど、毎日新聞に「村上春樹さん、村上文学を語る」という特集記事が載っていました。当時はウェブ版に未掲載でしたが、今はネットで一部が読めるようになっています。例えばこちら。http://www.47news.jp/smp/47topics/e/264863.ph…

iPhoneやAndroidは機械通訳の夢を見せるか

「言語の壁は崩壊寸前」という、興味深い記事を読みました。こういう話題に接すると、商売柄すぐに「食えなくなるかも」といったナマな思考回路が働くのですが、そこをいったん離れてもっと大きな空想をしてみたいと思いました。jp.wsj.com三年ほど前に「自…

私たちのナイーブな言語観について

台湾の総統(大統領)選挙と立法院(国会)議員選挙が行われ、民進党の蔡英文氏が大統領に当選、立法院でも民進党が議席の過半数を占めるという「完全勝利」で幕を閉じました。一昨年、「反服貿」の「ひまわり学運」が立法院占拠という形に発展した際、日本…

何に旅情を感じるかについて

先日台湾へ出張した際、ホテルで朝食券をもらったんですが遠慮して、近くの「早餐店」に出かけました。このホテルには前にも泊まったことがあって、朝食はバイキング形式で豪華でもあるんですけど、なにかこう「いまひとつ」なんですよね。特に「台灣特色」…

「エロ」くて「オヤジギャグ」な古典

夏の「研修会」でいくつか仕舞の地謡を仰せつかったので、謡をせっせと覚えています。iPodに入れた謡をエンドレスで聞きながら詞章や拍子や節を身体に覚え込ませるんですけど、基本は学生時代に最も苦手としていた「古文」の世界ですから、なかなか身体に入…

大雑把な質問

『報道ステーション』を見ていたら、ワールドカップの決勝で負けたことについて記者が岩清水梓選手に「サッカー人生の中で何番目の悔しさですか」とインタビューをしていました。岩清水氏は困惑しつつも「三番以内には入りますね」と答えていました*1が、こ…